2020年は歴史に記録される1年になることは間違いないでしょう。新型コロナで世界経済貿易の構造に重大な変化をもたらし、越境電子商取引業界にも様々な影響を受けています。
セラースプライトは、1ヵ月の時間をかけ、2020年度アマゾン各サイト、市場、セラーなどのデータを報告書としてまとめました。2020年を振り返り、アマゾンビジネスにより直観的に分析し、2021年のビジネス方向と展開を把握しましょう。
アマゾン・グローバル・マーケット
アマゾンは2020年までに、全世界の五つの大陸で18のサイトをサポートしています。
サイト:アメリカ、日本、英国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、カナダ、メキシコ、オーストラリア、インド、ブラジル、トルコ、アラブ首長国連邦、シンガポール、オランダ、サウジアラビア、スウェーデン。
このうちオランダ、サウジアラビア、スウェーデンは2020年に新たに立ち上げられる3つのサイトです。
アマゾンの各サイトの2020年12月の総アクセス数、つまりトラフィック状況です。
それらをアクセス数で並べてみると、上位9サイトはアメリカ、日本、ドイツ、イギリス、インド、フランス、イタリア、カナダ、スペインとなっています。
アマゾンにとってアメリカは依然として最も重要な市場であり、全ての市場へのアクセスの48%近くを占めています。次の三カ国、日本、ドイツ、イギリスはそれぞれ10%近くを占めています。インドとともに、上位5つの市場がアマゾンの世界市場のトラフィックの80%近くを占めています。
ここでは、2018年第4四半期から2020年第3四半期までのアマゾングローバルの純利益を示しています。
アマゾンは2020年にスポンサードプロダクト広告を更新し、DSP Audience Builderなどの広告ツールを新たに提供しました。
アメリカサイトにおけるセラーのアマゾン広告への支出額は年々増加し、2020年には約130億ドルとなりますが、この数字は今後も増加し続け、より多くセラーが広告にコストをかける見込みです。
アマゾンは2019年下半期に評価ルールを見直し、レビューの内容を書かずに評価をつけることができるようになり、評価数の重みが高くなりました。
2020年に米国サイトのスクリーン保護フィルムTop100商品の平均評価数を見ると、評価ルールの変化が商品に与える最も直接的な影響は自然評価率の向上です。アマゾンの検索ページには、今後ますます、より包括的で直感的な情報をカスタマーに提供する方向に向かう見込みです。
アマゾン自営と第三者セラー
アマゾン自営は複数のカテゴリーのセラーと競合関係にあり、セラーはアマゾンが先天的な強みを利用してトラフィックを奪い恐れがあるため、プラットフォームの同類セラーを犠牲にして自社のブランドを広めようとしています。
アマゾン自営によるGMVと第三者のセラーによるGMVは増加していますが、2020年に第三者のセラーの販売額は950億ドル増加し、2019年の2000億ドルを大きく上回っています。上げ幅は史上最高の47.5%で、アマゾン自営の33.3%の上げ幅を上回りました。
第三者のセラーのGMVの割合を見ると、第三者の販売者のGMVが年々増加していることがわかります。
2020年のアマゾンのグローバルGMVの62%は第三者セラーによるものです。
これはアマゾンの一部のカテゴリーの自営と第三者セラーの販売額の割合です。
書籍以外のカテゴリーでは、アマゾン自営の販売額は4%弱(1%弱のカテゴリーもある)という第三者セラーの販売額を下回っています。
アパレル、シューズ、アクセサリーのアマゾン全体の販売額のうち、第三者セラーの販売額は72%、アマゾン自営の販売額は28%で、そのうちの9%がアマゾン自営によるものです。
アマゾン自営のアパレルブランドが大きな位置を占めていることを示しています。
アマゾン商品、セラー区分
これはアマゾン・アメリカンサイトの商品カテゴリー、つまりアメリカンサイトのメインカテゴリーで販売されている商品の数です。
販売している商品数や、カテゴリー別の主要キーワードからの検索数で示される需給関係は、商品セレクトする際に重要な参考データとなります。
これらのカテゴリーは、販売している商品の数が多い順に並べられています。
2021年1月1日現在、アマゾン・アメリカサイトにおける販売数は4億を超えており、その中で最も販売数が多いカテゴリーはアパレル・シューズ・ブーツ・ジュエリーで、最も販売数が少ないカテゴリーは家電です。
852人だけのセラーが、アマゾン全世界での販売数の10%を占め、3万8000人以上が50%を占めていて、360万人以上のセラーが90%のシェアを占めました。
アマゾン市場全体のGMVの拡大に伴い、最も売れているTop商品の販売シェアが低下しています。このデータは、大手セラーの販売額を成長し続けることがますます難しくなっていることを示しています。
販売数の大半は、すでにアマゾンに参入して何年も経っているベテランセラーに占めされています。4大市場であるアメリカ、イギリス、ドイツ、日本では、2017年以前に参入したベンダーが販売数の半分以上を占めています。
これは、これらのベテランの「長寿」を示す数字であると同時に、市場が依然として不飽和であることを示しています。新規セラーは増分的な成長をもたらすので、必ずしも既存のセラーに勝って代わるとは言えませんが、新たなセラーは成長の機会も探していることが分かります。
これはアマゾンのトップセラーの活発度です。サンプル範囲は世界中のサイトのTop10000セラーです。
15年を例にして横から見ると、2015年に登録したTop10000のうち、1年後にも活動している人の割合は95%、2年後にも活動している人は89%、3年後にも活動している人は84%です。つまり、トップセラーの活発度が高く、変動率が低いです。
アマゾン新規セラー
これは、各サイトがここ3年で新たに増加したセラー数(アマゾンの各プラットフォームに登録したセラーアカウント数)です。
2020年に増加した絶対セラー数を見てみると、依然としてアメリカが1位で、次いでインド、そして2020年に新たに登場するオランダサイトです。
新規参入者数のこの3年間の推移を比較すると、アメリカでは競争がますます激しくなり、市場が飽和してきたことから、新規参入者数は徐々に減少していることがわかります。
COVID-19でアマゾンへの影響
2020年にコロナ世界的流行の影響で消費者の全体的な支出は減少したが、オンラインショッピング、特にEtsy、ウォルマート、アマゾンのプラットフォームでの支出は高くなりました。
トイレットペーパー、手洗い液、ティッシュペーパー、n95マスクなどの防疫物資に対する消費者の需要は2020年3月にピークに達し、アマゾンで検索された最も多い100のキーワードのうち、46の要素がコロナと関連しています。2020年年末には、これらの商品を購入する消費者は大きく減少しています。
これはキーワード「n95 mask」と「ergonomic office chair」の2020年のアマゾン・アメリカでの検索トレンドであり、データは「セラースプライト」の「キーワードリサーチ」機能に由来します。
コロナ感染の拡大につれ、在宅勤務時間も延長され、マスクを除いて、小型家電、オフィスチェアなどのキーワード検索数は大幅に増え、在宅勤務で需要が持続的に上昇し、「オタク経済」も2021年の一つの重要な商品セレクト次元になるでしょう。
2020年には、世界的な貨物輸送能力の低下、大量注文の配達の遅延、消費者の不満の上昇をもたらしました。5月にはアマゾンの消費者から、過去最高の100万件の否定的なレビューをしたが、その中で配達に関するのが最も一般的な原因となりました。
2月末から8月初めにかけて、アマゾンの販売はセラーの自己配送によるものが多くなりました。セラーのセルフデリバリーやアマゾンへの入庫が困難になったため、消費者からのネガティブなコメントが増え、セラーのFBA在庫の販売が加速し、プライムサービスの分類を減らさなければならなくなりました。
ネガティブなコメントが急上昇する時間帯と、プライムサービスの利用者数の減少と一致することからも分かります。
アマゾンは3月から医療物資や日常生活用品の供給を保証するために、在庫制限政策を実施しており、セラーの入庫補充が困難になっています。
2020年12月までに、在庫規制政策は緩和されました。
アマゾン・中国セラー
アマゾントップセラーのうち、中国セラーのシェアは年々上昇しており、2020年末には過去最高の42.3%に達しています。
アマゾンのグローバルマーケットでの販売額の大部分は、対応するサイトのネイティブのセラーや中国人のセラーから出ています。他の国のセラーを合わせても極わずかな割合でしかないです。
フランス、イタリア、スペイン、メキシコ、カナダなどの国々では、中国のセラーは国内の地元セラーよりも大きなシェアを占めています。中国はアメリカ市場の販売額の1%以上を占める唯一の国です。
2020年3月、中国が先に生産を再開し、経済が成長を回復すると、アメリカの新規セラーの50%以上が中国から来ており、2019年の36%を上回りました。
毎年2月には、春節のため、中国の新規セラーの数は最も少ないです。
2020年12月時点で、アマゾンの世界市場における中国のセラーは47.9%を占めていて、過去最高となっています。
そのうち、アメリカサイトのアクティブなセラーの46%は中国のセラーで、Top10000セラーの46%は中国のセラーで、すでに半分近くになっています。
これはセラースプライト「キーワード逆引きリサーチ」におけるユーザーがサイトを検索した回数です。
2020年後半(6か月)のユーザーのサイトの照会回数と、2020年12月第2週のユーザーのサイトの照会回数をランダムサンプリングしました。結果はほぼ同じです。
アマゾン中国セラーが最も注目しているサイトは、アメリカ、イギリス、ドイツ、日本、フランス、イタリア、スペイン、カナダの順となっています。
これはセラースプライト「キーワード逆引きリサーチ」におけるユーザーが検索回数Top100のASINに属するカテゴリーです。
中国セラーがアメリカで注目する10大カテゴリーを抽出しました。
ホーム&キッチン、電子、インテリア、ビューティーやパーソナルケア、スポーツ&アウトドア、おもちゃ&ゲーム、車&バイク、ドラッグストア、ペット用品、携帯電話やアクセサリー。
これは、2021年1月時点でのアマゾンの各サイトのカテゴリー別Top50万商品のうち、販売がある店舗数を示した図です。
販売がある中国セラーの割合はすべてのサイトで30%を超えており、最も高いのはフランスのサイトで、42%でした。
この図は前の図を棒グラフにしたものです。
アメリカでは、販売がある店舗数が50万店を超えて最も多く、そのうち中国セラーでは20万店を超えています。
2020年には、コロナ世界的な流行による消費のオンライン化が、逆に越境ECの成長をもたらし、アマゾンはかつてない成長を遂げました。
以上の調査データと分析は、2021年様々な変動に直面する時に、アマゾンの変化、市場のダイナミクスを予測するためお役に立てれば幸いです。
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