- ASINとSKUの役割を区別し、在庫台帳はSKU単位で管理する。
- FBA販売可能在庫、FBA納品中、自己発送在庫を別々に記録する。
- 販売可能在庫と入荷予定を二重に計上しない。
- 販売可能在庫÷1日平均販売点数で、参考となる在庫カバー日数を計算する。
- 調達・配送・受領までの日数を考慮して補充のタイミングを判断する。
- Seller Centralの実在庫を基準とし、SellerSpriteの推定販売数を自社在庫として扱わない。
Amazonで販売する商品が増えてくると、「商品ごとの在庫数が分からない」「FBAへ納品中の商品を在庫に含めてよいのか」「いつ追加発注すればよいのか」と迷うことはありませんか。
特に、同じ商品の色違いやサイズ違いを扱っている場合、商品名だけで在庫を管理すると、数量を混同するおそれがあります。また、FBA在庫と自己発送の在庫を合算してしまうと、実際に販売できる在庫数を誤って把握する可能性があります。
AmazonのSKU別在庫台帳を作るには、SKUを管理単位として、販売可能在庫・入荷予定・在庫の保管場所・販売ペース・補充リードタイムを分けて記録することが重要です。
本記事では、ExcelやGoogleスプレッドシートを使ったSKU別在庫管理表の作り方、必要な列、FBAと自己発送の区分、在庫数・在庫日数・発注点の計算方法を解説します。
AmazonのSKU別在庫台帳とは?
SKU別在庫台帳とは、商品管理番号であるSKUごとに、在庫数や入出庫、仕入れ、補充などの情報を記録する管理表です。
Amazon公式の初心者ガイドでも、SKUは在庫管理における最小の管理単位として説明されています。
ASINとSKUの違いを理解する
| 識別情報 | 意味 | 主な使い道 |
|---|---|---|
| ASIN | Amazonが商品を識別するためのコード | 商品詳細ページの識別・商品調査 |
| SKU | 出品者が自社の在庫を管理するためのコード | 商品別・バリエーション別・出品別の管理 |
| JANなどの製品コード | 商品を識別するための標準的なコード | 商品登録・商品識別 |
例えば、同じ収納ボックスでも、ブラックとホワイトを区別して在庫管理する場合、それぞれのSKUを持たせて管理できます。
なお、実際のAmazon出品SKUは、Seller Centralに登録されている値と一致させてください。
商品名ではなくSKUを基準にする理由
商品名は後から変更される場合があります。
一方、SKUを識別キーにしておけば、販売履歴や在庫記録を同じ商品管理単位に結び付けやすくなります。
ただし、SKUの再利用や変更、出品の作り直しがある場合は、履歴が混同されないよう管理ルールを決めましょう。
在庫管理表に必要な項目
最初は複雑なシステムを作る必要はありません。
まず次の情報をSKU別に管理できるようにすると、在庫確認や発注判断を進めやすくなります。
| 項目 | 記録する内容 | 管理目的 |
|---|---|---|
| SKU | Amazon出品SKU | 管理対象の識別 |
| ASIN | Amazonの商品コード | 商品ページとの照合 |
| 商品名・バリエーション | サイズ、カラー、数量など | 商品を取り違えないため |
| 出荷方法 | FBA・自己発送 | 在庫の所在を区分 |
| 販売可能在庫 | 現在販売できる数量 | 直近の販売可能数を把握 |
| 入荷・納品予定 | 入庫前の商品数量と予定日 | 補充計画を立てる |
| 1日平均販売点数 | 対象期間の販売点数÷日数 | 消化ペースを把握 |
| 補充リードタイム | 調達から販売可能になるまでの日数 | 発注時期の検討 |
| 更新日 | 在庫情報を確認した日付 | 古い情報との混同を防ぐ |
事業が拡大した場合は、仕入れ単価、販売不可在庫、予約済み在庫、返品、棚卸差異などの項目を追加する方法があります。
FBAと自己発送の在庫をどう分ける?
Amazon販売では、FBAと自己発送で在庫の管理方法が異なります。

FBAはAmazon側の在庫状態を確認する
FBAの商品は、Amazonのフルフィルメントセンターに保管されるため、Seller Centralに表示される在庫状態を基準に確認します。
販売可能な在庫と、納品中・受領処理中・販売不可などの在庫は区別する必要があります。
実際の在庫項目名や分類は、Seller Centralの画面・レポート仕様によって異なる場合があります。
自己発送は自社側の実在庫と引当を管理する
自己発送では、自社倉庫や保管場所にある在庫を管理します。
すでに受注している商品を引当済みとして区別する場合、販売可能在庫から重複して差し引かないよう注意しましょう。
自社の表で「実在庫」「引当数」「販売可能在庫」を定義しておくことが重要です。
FBA在庫と自己発送在庫は別々に記録する
| 商品・区分 | 販売可能 | 納品・入荷予定 | 確認事項 |
|---|---|---|---|
| 商品A・FBA | 48個 | 20個 | FBAの受領・反映状況 |
| 商品A・自己発送 | 12個 | 0個 | 自社倉庫・注文引当 |
※説明用の架空データです。
この例では、FBAの48個と自己発送の12個を別々に管理します。物理的に保管場所が異なるため、合計60個をそのままFBAで販売できる在庫として扱うことはできません。
また、納品予定の20個も、現在すでに販売できる在庫として数えないよう注意してください。
ExcelでSKU別在庫管理表を作る手順
ExcelやGoogleスプレッドシートで在庫台帳を作る場合は、最初に管理単位と更新ルールを決めます。
STEP1.SKUマスターを作成する
SKUごとに、商品名、ASIN、サイズ、カラー、仕入れ先、出荷方法などを記録します。
実際のSeller CentralのSKUを基準にし、重複や入力ミスがないか確認しましょう。
STEP2.在庫スナップショットを作成する
SKU別に、確認日時、販売可能在庫、納品予定、販売不可在庫などを記録します。
FBAはSeller Centralから確認した在庫状態を基準にし、自己発送は自社倉庫の記録と照合します。
古い行を上書きして履歴がなくならないよう、日付別に保存する方法もあります。
STEP3.入出庫履歴を別シートに記録する
入出庫の履歴には、日付、SKU、数量、入庫・出庫の理由、対象倉庫を記録します。
例えば、仕入れによる入庫、顧客注文による出庫、返品、破損、棚卸差異などです。
FBAの場合はAmazonのレポートとの整合性を確認し、手動入力による二重計上を避けましょう。
STEP4.販売ペースと補充条件を設定する
直近の販売実績から1日平均販売点数を計算し、仕入れから販売可能になるまでのリードタイムを登録します。
新商品で実績が少ない場合は、仮定した販売ペースを使用することもありますが、実績と予測を区別して記録してください。

STEP5.定期的にSeller Centralと照合する
在庫台帳の数値が、実際の販売可能在庫や入荷予定と一致しているか確認します。
返品、販売不可、納品差異、注文の引当などで数値が変わる場合があるため、単純な入庫・出庫計算だけに頼らないことが重要です。
在庫カバー日数・発注点の計算方法
在庫台帳を補充計画へ活用するには、現在の在庫が何日分あるかと、いつ発注すべきかを確認します。
1日平均販売点数を求める
1日平均販売点数 = 対象期間の販売点数 ÷ 対象日数
例:直近30日間の販売点数が120点の場合、120÷30=4点/日
季節商品や広告キャンペーンの影響が大きい場合は、単純な平均だけでなく、過去の同時期や直近の販売傾向も確認する必要があります。
在庫カバー日数を求める
在庫カバー日数 = 現在の販売可能在庫 ÷ 1日平均販売点数
例:販売可能在庫48個、1日平均4個なら、48÷4=12日分
この計算は、現在の販売可能在庫が同じペースで減ると仮定した参考値です。
納品中の商品が今すぐ販売できることを意味するものではありません。
発注点と補充数量を計算する
在庫補充を考えるときは、仕入れから販売可能になるまでの日数と、安全在庫を考慮します。

発注判断の基準量 = 1日平均販売点数 ×(補充リードタイム+確認間隔+安全在庫日数)
在庫ポジション = 販売可能在庫+確実に入荷が見込める発注済み数量-未反映の引当数量
補充必要数 = MAX(0, 発注判断の基準量-在庫ポジション)
これは、定期的に在庫を確認して発注する場合の簡易モデルです。Amazonが定める公式の発注点計算式ではありません。
販売可能在庫がすでに引当済み数量を控除している場合は、引当を二重に引かないようにしてください。
計算例|FBA在庫48個から補充数量を求める
ここでは、FBAで販売する架空の商品を例に、在庫台帳から補充数量を計算します。
すべて説明用の仮定データであり、実在するAmazonアカウントの在庫ではありません。
検証条件
| 項目 | 設定値 |
|---|---|
| SKU | BOT-500-BLK |
| 出荷方法 | FBA |
| 現在の販売可能在庫 | 48個 |
| 納品中・入荷予定 | 20個(8日後に販売可能となる想定) |
| 1日平均販売点数 | 4個 |
| 新たな補充リードタイム | 16日 |
| 在庫確認間隔 | 7日 |
| 安全在庫日数 | 5日 |
① 現在の在庫カバー日数を計算する
現在の販売可能在庫48個を、1日平均販売点数4個で割ります。
48÷4=12日分
つまり、追加の入荷がないと仮定すると、現在の販売可能在庫は約12日分です。
② 発注判断の基準量を計算する
補充リードタイム16日、確認間隔7日、安全在庫5日を合算すると28日になります。
4個×(16日+7日+5日)=112個
この仮定では、発注判断の基準量は112個です。
③ 補充必要数を計算する
すでに入荷予定の20個が計画どおり到着すると仮定すると、在庫ポジションは次のようになります。
48個+20個=68個
発注判断の基準量112個との差は、
112個-68個=44個
したがって、この簡易モデルでは44個が追加補充の参考数量です。
ただし、実際の発注量は、最小発注数量、発注ロット、仕入れ予算、需要変化、FBA納品制限などに応じて調整する必要があります。
④ 納品予定日の確認が重要
現在の在庫カバー日数は12日です。
納品中の20個が予定より遅れれば、欠品の可能性があります。
また、新たに発注した商品が16日後に販売可能になる想定であっても、仕入れ先や物流状況によって変わる場合があります。
そのため、数量だけでなく入荷予定日や納品状況を確認することが重要です。
Excel・Googleスプレッドシートの入力例
次のように列を設定すると、今回のケースを計算できます。
| 列 | 項目 | 2行目の値・式 |
|---|---|---|
| A | SKU | BOT-500-BLK |
| B | ASIN | 対象商品のASIN |
| C | 商品名 | ステンレスボトル 500ml |
| D | 出荷方法 | FBA |
| E | 販売可能在庫 | 48 |
| F | 入荷予定数量 | 20 |
| G | 1日平均販売点数 | 4 |
| H | 補充リードタイム(日) | 16 |
| I | 在庫確認間隔(日) | 7 |
| J | 安全在庫日数 | 5 |
| K | 在庫カバー日数 | =IFERROR(E2/G2,"") |
| L | 発注判断の基準量 | =G2*(H2+I2+J2) |
| M | 在庫ポジション | =E2+F2 |
| N | 補充必要数 | =MAX(0,L2-M2) |
この入力例では、E列はすでに引当を考慮した販売可能在庫とし、F列は計画どおり入荷が見込める数量と仮定しています。
引当済み注文や入荷遅延などがある場合は、列を追加して計算条件を修正してください。
また、販売実績がない場合など、G列が0のときは在庫カバー日数を空欄にする設定にしています。
在庫台帳の更新ルールと注意点
① 元データの確認日時を残す
在庫は注文や納品、返品などによって変化します。
在庫表を更新したときは、取得日と確認時刻を残しておきましょう。
② FBAの納品予定を販売可能在庫に含めない
納品中の商品は、実際に販売可能になるまで、現在の販売可能在庫と区別して扱います。
発注判断で入荷予定数量を考慮する場合でも、予定日と受領状況を確認する必要があります。
③ 返品・破損・販売不可を記録する
返品された商品が必ず販売可能在庫へ戻るとは限りません。
販売不可や破損などの状態を区別し、Seller Centralの情報と照合しましょう。
④ 実績が変わったら販売ペースを見直す
広告、セール、季節性、競合価格などによって販売点数が変化する場合があります。
直近30日平均だけでなく、商品特性に応じてより適切な期間を選ぶことが重要です。
⑤ 在庫管理を週次運営へ組み込む
在庫表は一度作って終わりではありません。
毎週の運営チェックの一部として、販売可能在庫、入荷予定、補充必要数量を確認しましょう。
具体的な業務の進め方は、Amazon新規セラーが毎週やることをご覧ください。
Seller CentralとSellerSpriteの使い分け
在庫台帳の情報源として最も重要なのは、実際のAmazon店舗の在庫データです。
そのため、FBAの販売可能数や納品状況はSeller Centralで確認し、自社倉庫の商品は倉庫側の記録と照合する必要があります。
SellerSpriteの商品リサーチは在庫台帳の代わりではない
SellerSpriteの商品リサーチは、Amazon市場の商品候補や競争状況を調査するための機能です。
推定販売数、価格、レビュー数、BSRなどの情報を参考にできますが、自社のFBA販売可能在庫や入荷予定を直接示すものではありません。
在庫台帳へ外部の推定データをそのまま入力しないよう注意しましょう。
新しいSKUを追加する前の商品調査に活用する
在庫管理が安定してきたら、新しいSKUや商品バリエーションを追加する前に、SellerSpriteで市場の需要と競争を調べる方法があります。
特に、新たな商品を仕入れる場合は、価格帯、推定販売数、レビュー、競合の状況を確認し、商品ごとの利益条件も別途計算しましょう。
SellerSpriteの商品リサーチでは、Amazon.co.jpの商品をカテゴリー、価格帯、推定販売数、レビュー数などで比較できます。既存商品の在庫管理と並行して、次に扱う商品の需要と競争状況を調べましょう。
商品リサーチを使うAmazon SKU別在庫管理に関するよくある質問
Q1.AmazonのSKU別在庫台帳には何を記録しますか?
SKU、ASIN、商品名、出荷方法、販売可能在庫、入荷予定、販売ペース、補充リードタイム、更新日などを記録します。事業規模に応じて返品や販売不可在庫の項目も追加できます。
Q2.ASINとSKUは同じものですか?
いいえ。ASINはAmazonが商品を識別するためのコードで、SKUは出品者が在庫を管理するために使用するコードです。
Q3.FBA納品中の商品は在庫数に含めてもよいですか?
発注・補充計画では入荷予定として管理できますが、現在すぐ販売できる在庫と同じ扱いにしないでください。受領状況と販売可能への反映を確認する必要があります。
Q4.在庫カバー日数はどう計算しますか?
現在の販売可能在庫を1日平均販売点数で割ることで、参考となる在庫カバー日数を計算できます。販売ペースが変化する商品では、過去の需要や季節性も確認してください。
Q5.発注点はどのように決めればよいですか?
調達から販売可能になるまでの日数、在庫を確認する間隔、安全在庫、日平均販売点数などを使って検討できます。記事中の式は簡易モデルであり、すべての商品に共通する公式基準ではありません。
Q6.FBAと自己発送の在庫を合算してもよいですか?
全社の保有数量を把握するために合算することはできますが、実際の販売可能数を管理するときは出荷方法と保管場所を区別してください。自己発送在庫をそのままFBA販売可能在庫として扱うことはできません。
まとめ|SKU別在庫台帳で欠品と補充の判断を整理しよう
Amazonで商品を販売する際は、商品名だけでなくSKU単位で在庫を管理することが重要です。
FBAと自己発送の在庫を分け、販売可能在庫、入荷予定、販売ペース、補充リードタイムなどを記録しましょう。
在庫カバー日数と発注判断の基準量を計算すると、何をいつ補充するか検討しやすくなります。
ただし、計算式だけでなく、実際の納品予定や販売状況、在庫区分を確認する必要があります。
最初は簡単な表計算シートでも、SKUと在庫数の定義を統一し、定期的に更新することが重要です。
在庫管理を含む新規セラーの運営全体については、Amazon販売初心者の運営・ツール活用ガイドをご覧ください。
参考資料
