今週の注目:
✨ゲーム「Black Myth: Wukong」、発売から数時間でSteam史上2番目に
✨TikTok、ECサービスが東南アジア市場でGMV4倍の急成長
✨動画編集アプリ「CapCut」、AdobeやCanvaのライバルに
1、TikTok
ECサービスが東南アジア市場でGMV4倍の急成長
シンガポールの調査会社Momentum Worksによると、東南アジアの電子商取引(EC)の流通取引総額(GMV)は2023年に1146億ドル(約17兆円)に達した。TikTokは23年にTokopediaの株式の過半数を取得している。両社のシェアを合わせると28.4%となるため、TikTok Shopは実質的にLazadaを抜いて東南アジア2位のECプラットフォームとなった。
シンガポールのShopeeとLazadaはいずれも早い時期に設立された従来型ECで、すでに高い参入障壁を築き上げているため、従来型ECが新規参入してもシェアを伸ばす余地はないが、TikTokはショート動画をベースとしたライブコマースと興味ECを展開し、東南アジアのEC市場に風穴を開けた。
東南アジアはショート動画の視聴を好む若者の人口の割合が高く、目新しいものの受容度も高いため、TikTok Shopのコンセプトと一致し、23年のGMVは前年のほぼ4倍に拡大し、東南アジア地域で最も急成長を遂げたECプラットフォームとなった。東南アジアのEC市場は今後も拡大する可能性があるため、大手企業が先を争うように事業を展開しており、市場競争がますます激しくなっている。
2、SHEIN
ライバルのTemuを著作権侵害で訴訟を提出
オンラインマーケットプレイスとファストファッションの大手として知られるSHEINが、同じく中国系のプラットフォームであるTemuを著作権侵害で提訴したことがわかった。Temuがデザインを盗用しており、「合法的なマーケットプレイスを装っている」と訴えられた。
SHEINは、Temuが「偽造、企業秘密の盗難、知的財産権の侵害、および詐欺に基づいて構築された違法な企業」だと主張する。マーケットプレイスを装っているだけで、実際には出品可能な商品と価格はTemu側が提示しており、また、商品は知的財産権を侵害したものでも構わないと奨励した上に、著作権侵害があっても商品をサイト上から削除できない仕組みになっていて、「マーケットプレイス」を装っているだけだと述べている。
この件について、Temuはコメントを発表していない。またSHEINは、「Temuのビジネスに不法に干渉するために、脅迫的戦術を用いている」として、Temuから訴えられた。
3、ゲーム「Black Myth: Wukong」
発売から数時間でSteam史上2番目に人気ゲーム
ゲームスタジオのGame Scienceが、「西遊記」を題材にしたアクションRPG「Black Myth: Wukong(黒神話:悟空)」を2024年8月20日に発売した。「黒神話:悟空」は、Tencentの元従業員らが立ち上げたゲームスタジオ「Game Science」が開発・提供するゲームであり、名前から連想されるとおり中国小説の「西遊記」をベースにしたアクションRPGだが、「完全に現地のスタジオが開発したこと」、つまり中国国外のデベロッパーの手が入っていないことが特徴である。
Steamのデータを収集するSteamDBでは、「黒神話:悟空」が過去24時間で約220万人にプレイされていることが示されています。Steamの「売り上げ上位ランキング」では、「Counter-Strike 2」を越えて堂々の1位となっていることがわかった。GPUメーカーのNVIDIAは、発売初日から「黒神話:悟空」に対応したドライバーのアップデートを実施し、レイトレーシングを最適化して照明、反射、影の忠実度と品質を向上させているそうだ。ゲーム関連のコンサルティング機関によると、中国人気の高いゲームですが、アメリカでの評価も高く、IGNは「これまでプレイしたゲームの中で最も素晴らしいゲームの1つ」と評価し、Steamでも14万5827件中96%が好評とする圧倒的に好評が得られている。
4、JDドットコム
24年4〜6月期は純利益92.1%増の大増益
中国電子商取引(EC)大手の京東集団(JDドットコム)が、2024年4~6月期の決算を発表した。売上高は前年同期比1.2%増の約5兆8000億円、純利益は92.1%増の約2500億円、調整後の純利益は69%増の約2900億円で、いずれも市場予想を上回った。また、純利益率が初めて5%に達した。
同社は24年1~3月期から決算報告を「京東零售(JD Retail)」、「京東物流」、「新規事業」の3部門に分けている。4~6月期の売上高は、京東小売が1.5%、京東物流は7.7%増加したが、新規事業は35%減少した。京東集団の最高経営責任者は、利用者が同社の「低価格戦略」に対してポジティブな反応を示していると説明した。同社は低価格戦略を重視してはいるが、割引などの優待サービスに頼るべきではなく、大量取引によるコスト削減や運営効率の改善で低価格を実現すべきだと考えている。
5、アリペイタッチ決済
より多く中国大手店舗にも恩恵 消費を刺激
中国では、電子商取引(EC)大手アリババグループ傘下の電子決済サービス「支付宝(アリペイ)」が新たに開発したタッチ決済システムが多くの都市に広まっている。成都市のイトーヨーカ堂ある支社で取材すると、スマホの支付宝アプリを開くことなく、また現在操作中のアプリを終了することなくNFC(近距離無線通信)対応のスマホで決済を済ませる人の姿が見られた。この方法なら電話で通話しながらでも支払いを終えることができる。
同店の寧凌副店長によると、タッチ決済の利用者は多く、顧客はレジに並ぶ時間が短くなっただけでなく、ポイントも加算されるという。「若者だけでなく年配の人も使っている」と話し、決済方法の革新が消費活力を刺激したことで客の流れも前年同期に比べ約2%増えたと語った。成都イトーヨーカ堂の責任者は成都にある8店舗全てで導入し、7月31日時点で約5万人が利用、決済総額は約2億円を超えたと説明した。
6、動画編集アプリ「CapCut」
AdobeやCanvaのライバルに
米調査会社センサータワーによると、中国テック大手のバイトダンスが手がける動画編集アプリ「CapCut」は現在、MAU(月間アクティブユーザー数)が3億人を上回り、動画編集アプリで8割以上のシェアを占めている。また、モバイルアプリの2024年の収益はすでに1億2500万ドル(約180億円)に達したとみられる。米ブルームバーグによると、CapCutは急激に台頭してAdobeやCanvaからユーザーを奪い始めた。 CapCutは簡単に動画を制作できるよう合理化されたツールで、その特殊効果はバイトダンスが運営する動画共有アプリのTikTokユーザーに高い人気を呼ぶ。 Adobeの動画編集ソフトはプロレベルの複雑な動画編集にも対応できるが、シンプルな動画編集であればCapCutの方が使いやすい。
米政府はTikTokに対する圧力を強め続けている。バイトダンスはCapCutの開発チームはTikTokとは無関係だと主張しているが、CapCutも米国で禁止される可能性がないとは言えない。
7、ロボット交通機関
ロボタクシー&ロボットバスのテストが運転手たちに危機感
調査によると、運転手なしのロボットタクシーとロボットバスのテスト運行が中国で幅広く行われているそうだ。事業を展開する企業では車両数をどんどん増やす方針で、タクシーやライドシェアサービスの運転手は危機感をもたらした。
このテストが行われている都市のうちで、7つの都市では、業界をリードするApollo Goといった5社を含む企業が、人間の運転手による監視なしのテストを認められている。その中、Apollo GoはIT大手・Baiduの子会社で、2024年5月に「年末までに湖北省武漢市に1000台のロボタクシーを配備する」という予定を明らかにしている。
自動運転技術にはまだまだ未成熟な部分もあり、安全面については中国でも懸念の声はあるのですが、国営メディアは黙殺する状態で、政府は経済目標達成のために積極的にテストを承認するような状態だとのこと。